15.1.新聞レイアウトの3類型
一口に「新聞レイアウト」と言っても、面の性格や位置付けによってさまざまです。
たとえば社会面と読書面ではまるで形が違います。
レイアウトは以下の3類型で考えると理解しやすいと思います。
(ここでは商況面やテレビ欄など、プログラムで自動作成されるような特殊な面は除きます)。
①ニュース面のレイアウト
各紙の社会面がわかりやすい例です。
基本的に、各記事の扱いに強弱をはっきり付けます。見出しの大きさはもちろん、写真も複数枚あればサイズを変えます。
特にトップ記事は、地味目な時もあれば、思いっきり派手な時もあります。
余白が少なく、固定された決まりものも最小限です。
慣れれば、比較的手早く作れます。
以下は同じ全国紙の別々の日付の社会面のレイアウトをほぼ正確に本ソフトで再現したものです。(内容は別物)
いずれも読売新聞大阪本社版13版。左は2023年1月8日付、右は2021年9月11日付。見出し幅は本物と同一だが文字サイズは適当。
左上に固定された4コママンガ以外は、完全にその日で変わるレイアウトです。
いずれも収容された記事は5本ですが、左は1段から3段弱まで大小の写真5枚を使った比較的ゆったりした紙面。右は写真3枚です。
写真の有無等によって臨機応変に変えることが求められる紙面です。
またトップの横見出しの幅は、ニュースの軽重によって変わります。
(ちなみに写真の少ない右側の社会面の方が記事の収容量が多いようにも思えますが、実際に流れている記事量は左右で1行しか違いません。
左の紙面の方が1行分多く12本組換算で285行分、右は284行分です。これは、大きな横見出しが行数を圧迫するからです)
②固定レイアウト
読書面などがわかりやすい例です。
箱組を多用するなどして、常に同じ扱いで、同じ行数の記事に同じ文字数の見出し、同じ大きさの写真が
毎回並んだりします。
以下は、全国紙の読書面、見開き2頁のレイアウトをだいたい正確に本ソフトで再現した紙面(中身は別物)。
5種類計10個の箱組が置かれているだけです。
2022年12月10日付 朝日新聞大阪本社発行版読書面を参照。
書影自体は宣伝目的の利用を許諾している版元ドットコムから取得。
本文は本ソフトで作成した「偽文」だが、見出しは内容に基づいており、すべて宣伝になっている、はず。
左上の写真のみパブリックドメインRから。
こうした紙面は、最初にレイアウトするのはなかなかの手間ですが、いったん作成してしまえば、
編集作業としては見出しの文言を考えるくらいで済みます。
本ソフトでは「雛形」機能を使えば、2度目からは楽に作業できます。
以下は、本ソフトで雛形化して呼び出した紙面の例。行数の揃った記事を流し、仮画像に書影等を取り込むだけでほぼ完成します。
見出しを考える時間を除いた実作業は数十分で済むはずです。
③フリーレイアウト
丸々1頁を潰した特集などで、ニュース面とは違う凝ったレイアウトになります。
全体を大きな箱組にしたり、複数の箱組を組み合わせることもあります。
最近の新聞では、グラフィックスを効果的に使うことも目立ちます。
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左図はトップページにも掲載している本ソフトの説明用新聞の4ページ目です。
さして優れたレイアウトではありませんが、真ん中にメーンの見出しとリード組を配置し、周囲を記事が囲むスタイルです。
紙面全体が6つの箱組の組み合わせで出来ており、さらにその箱組の中に4つの箱組が入っています。
個々の箱組にはアイキャッチとしてコンピュータ関連のグラフィックを配し(※)、統一感を出すよう狙っています。
記事や画像が準備できていたとしても、作成に少なくとも半日はかかる面倒くさい紙面です。
※…実際にはグラフィックではなく見出しで絵文字を使って代用しています
センス、技術、経験が試される紙面です。
各紙の元旦紙面はフリーレイアウトのオンパレードなので、元旦付だけ一通り買っておくといろいろ参考になるかもしれません。
ハイブリッド
以上の分類はあくまで目安で、実際には3種類の組み合わせで出来ている紙面も多いです。
生活面・文化面などのいわゆるフィーチャー面では、紙面の半分程度が完全固定、残りのトップ部分が
毎回フリーレイアウトで変化を付けていたりします。
特に各紙の〝顔〞である一面は、ニュース面ではありますが、題字や紙面メニュー、コラムなど決まりものが完全固定されており、
レイアウトの制約が強めです。