8.1.箱組の基本と計算法
箱組は奥が深く、さまざまなパターンを紹介すると切りがないので、
ここでは非常に基本的な型と設計(計算)方法について説明します。
「計算」と言っても、小学校レベルの四則演算ができれば十分です。
本ソフトの箱組作成は、1段の文字数は完全固定、段間だけが大きさ変更可能という方式です。
段間には記事は流れませんが、矩形素材は置けます。
箱組の設計・作成では、この段間の使い方が肝になります。
正段の箱組
基本的な作成・計算法は
(1)紙面より段組をひとつ減らす(3段なら2段組み、5段なら4段組)
(2)減らした1段分を、上下の罫線と段間に振り分ける
(3)文字組を紙面より増やした場合、振り分け領域が少なくなる
となります。新聞でよく見るパターンです。
段間ひとつを拡大する
上図左の例だと、文字組は紙面と同じ12です。
2段組みで1段12文字分と段間の合わせて13文字分が余ります。
上下の罫で2文字分ずつ計4文字分使うので、残りは9文字分。それを真ん中の段間に割り振っています。(通常の段間に足して計10文字分)
上図右は、文字組を紙面より1つ多い13文字にしているので、段間に振り分けられる天地は
13-2-4 = 7
で7文字分(通常の段間に足して計8文字分)になります。(箱組に収容できる記事量は当然増えます)
複数の段間を拡大する
余り分を段間2つに振り分ける形もよくあります。
上図左の例では、2つの段間にそれぞれ4文字分、6文字分割り振っています。
また文字組を1つ増やした上図右の例では、段間をそれぞれ3文字、5文字分に縮めています。
「天の段間」と「地の段間」
段間は本来は文字通り「段と段の間」を指しますが、本ソフトでは、1段目の上(横組なら左)と、最終段の下にも
「段間」が置けるようにしています。通常の段間と同じ扱いになり、記事は流れませんが、見出しなど矩形が置けます。
食い込みの箱組
食い込みの写真などと組み合わせるパターンです。これも現代の新聞でよく見ます。
この場合は
(1)段組を食い込みのうち正段部分と会わせるかひとつ減らす
(2)余った部分を上限罫線や段間に振り分ける
となります。
上図は、それぞれ1段6文字分の写真の下に、紙面と同じ12文字組の箱組を置いた例です。
左図の例は、余った6文字分を、天の段間と下の内外余白にそれぞれ4文字分と2文字分、割り振っています。
右図の例は、余った分を、さらに上の余白にも割り振っています(写真と記事がくっつかないため)。
横組の場合
縦組の紙面の中に横組の箱組を作る場愛、縦組のような単純な計算式はありません。
ただ、入る記事の総量は縦組とほとんど変わらないので、まず領域を決めてから紙面作成する方がよいと思います。
箱組の中に箱組
以下は、箱組を使った実際の新聞紙面をおおざっぱに再現したものです。
通常の12文字組紙面の4段分の天地を持つ箱組で、中にはさらに2つの箱組が入っています。(右上のリード組も箱組なので正確には3つ)。
箱組のひとつは横組で、さらに小さな文字サイズになっています。
(2021/09/11読売大阪本社版くらし面から。見出しは箱組説明用の別物、
本文はプログラム出力した、遠目で日本語に見えるだけの意味不明文です)
一見、何やら複雑に見えますが、ベースの箱組は以下のように実に単純な構造です。
箱組の中にさらに箱組を作るのはよくある手法です。
箱組を紙面と考えて、上記の方法と同じ手法で作れば、ひとつひとつの箱組作成はさほど難しくありません。
上の例だと、左下の箱組は、文字組を親の箱組よりひとつ増やした分、段間のサイズがほぼ2文字分小さくなっています。
💡
箱組は頭で考えて試行錯誤するより、実際の新聞の箱組を見つけたら、その(中身でなく)「構造」をよく見て、
参考にするのが良いと思います。