5.1.見出しの基本と用語

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見出しとは

「そもそも見出しとは」という本格的な説明はなかなか難しいですが、敢えて一言で言えば、見出しは「記事内容の『核』を端的に表すもの」です。
辞書的な定義はともかく、実際の新聞における見出しは「タイトル」ではなく、記事の要約とも違います。
(大辞林4.0の定義はそこそこ的確ですが、広辞苑第7版の説明は雑です)
もちろん、連載等には「タイトル」があり、また一部の見出し文をタイトル的な表現にすることはありますが、それは補助的なものです。

大事なことほど短く言う

新聞は一般に、限られたスペースにできるだけ大量の情報を詰め込みます。
見出しでは特にその制約を受けます。
同じ大きさ(天地と幅)の見出しでも、文字数が少なければ、その分、文字サイズが大きくなり、重要であることが一目で分かります。
大事な見出しほど、言葉の言い換えや並べ替え、敢えての省略などの工夫で文字数を切り詰める、という作業が必要です。 慣れやテクニックも必要ですが、究極的には「日本語の表現能力」が問われます。
逆にそれが面白さでもあります。
英語などの他言語と比べ、大量の情報や感情を、分かりやすく短い文字数に叩き込めるのが「漢字仮名交じり文」の特性。 それを生かせるのが、英字新聞などとは違う、日本語の新聞の強みだと思います。

事実か主張か

見出しは大きく2種類に分けることが出来ます。(いろんな分類法がありますが、あくまでその一つです)
ひとつは事実を伝えるものです。ニュース本記の見出しはそれです。乱暴に言えば「何がどうした」を伝えます。
もうひとつは主張や感情を伝えるもの。新聞社説の見出しが分かりやすい例です。はっきりとした主張を述べています。
「事実を伝えつつ感情を滲ませる」ことも、出来なくはありませんが、それなりの力量(日本語の表現力)が必要です。

見出し文の「型」と名称

複数の見出し文をどう組み合わせるか、その型は、時代によって変わってきました。
本ソフトは、2021年現在で一般的な新聞見出しの型を簡単に作れるよう設計されています。
見出しと「見出し文」

一口に「見出し」と言っても、見出し全体を指すのか、大きさの違う個々の文字列を指すのが不明瞭です。 本ソフトでは、個々の文字列を「見出し文」、ひとつあるいは複数の見出し文を組み合わせた全体を「見出し」と呼称します。 (「見出し文」は作者の造語です)

まず、個々の見出し文の種別名について説明します。
下の2つの見出し例は、実際にはあまり見ない見出しの型ですが、説明用にあえてこうしています。
新聞社・印刷所によって様々な呼び名がありますが、このヘルプでは人間の体の部位に擬した表現を使います。

      

上図のように、現代の新聞の見出し文はだいたい「主」「脇」「肩」「頭」「尻」「中」の6種類で構成されます。
なお「割(わり)」は、主や脇の上下にコバンザメ的に付きます。見出しの本数に数えません。「脇の上に割る」などと言います。

それぞれの位置づけについては、実際の新聞を見た方が理解が早いと思います。
「2本見出し」か「2行見出し」か

見出しに関する用語は不統一で、同じ用語で違う内容を指すこともありますが、 特に混乱するのが「2本見出し」と「2行見出し」ではないかと思います。
特に「2行見出し」については、いわゆる「主」「脇」を並べる型を指すこともあれば、 単に改行した見出し文を表すこともあって、分かりづらいです。
このヘルプでは、主・脇の型は「2本見出し」、改行したものは「2行」と使い分けます。


見出しの「型」いろいろ

新聞見出しの「型」のうち、現在一般的ものについて簡単に説明します。
実例は示しません。これまた実際の新聞で見出しを見た方が手っ取り早いと思います。

1本見出し

今なお新聞でよく見る見出しです。
本記でも使いますが、関連記事で見ることが多いでしょう。
1本見出しには「頭」も「尻」も付けないのが通例です。上下(横見出しなら左右)に「割る」ことはあります。

2本見出し

おそらく新聞の読者が最も目にする見出しの型です。
「主」見出し文で中身を表し、「脇」見出し文で補足するのが一般的です。
「肩」と「主」による2本見出しもあります。
これらに「頭」か「尻」を付けて3本にすることも多いです。

複数見出しの組み合わせ

実際の新聞では、特に大きな扱いの記事では、複数の見出しを組み合わせることもあります。
横の大きな1本見出しに、縦の2本見出しを付けるのは、紙面トップ記事の定番です。
いろんな組み合わせがあるので、実際の新聞をよく見るのが一番です。
消えた見出しの型

見出しの型には流行り廃りがあり、今ではすっかり見なくなったものも多いです。
下の見出しは、それぞれ昭和の初期、中期に見られた見出しを本ソフトでそれっぽく再現したものです。
左の型は、「人間が一目で理解できるのは7文字が限度」という当時の科学的知見に基づき、 短い見出し文を並べるようにした、らしいです。
本ソフトではこういう古い型はパターン登録されていないので、仮に作るとすると、 自動位置調整を外して自前で位置を動かす必要があります。


縦見出しと横見出し

見出しには縦と横の2つがあります。堅苦しい言い方だと「組方向」が2種類。
ひとつの紙面に縦見出しばかりだと単調になりがちなので、横見出しを入れた方がいいかもしれません。

縦と横で基本は特に変わりませんが、縦はいわゆる「ちどり」で、横はワープロで言う「中央寄せ」になります。
(ユーザが意識しなくても本ソフトでは自動で使い分けます)。
位置調整については別ページで説明します。
縦見出しは硬?横見出しは軟?

一般の新聞では、なんとなく縦見出しは真面目な話、横見出しはちょっと柔らかい話、 のような使い分けの傾向めいたものが過去にはあった気もします。
一方で、極めて重要な記事(トップ記事の中でも重大なもの)は、メーンが横見出しになるので、 ここらへんは曖昧です。